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札幌相続相談所
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遺言に反する遺産分割協議を行った場合の相続税
札幌で各種相続のサポートをしています。札幌・札幌近郊で相続手続にお困りの方は札幌市中央区の当事務所にご相談ください。
相続手続を業務の中核としている当事務所には、様々なご相談やご依頼がございますが、たとえば次のようなケースがあります。
ケース:札幌市北区のAさんが死亡しました。Aさんの相続人は配偶者であるBと子Cひとりです。Aさんは生前に遺言書を作成しており、「すべての財産は子どもであるCに包括して遺贈する」としていました。しかしながらCさんは東京在住であるため、札幌にあるAさんの財産を欲しいとは思っていません。そこでBとCは遺産分割協議を行い「すべての財産は配偶者であるBが相続する」としました。
上記のケースにおいて、相続税法上はどのように扱われるのでしょうか。遺言書を完全に無視して、遺産分割協議の内容で相続税の申告と納税を行ってよいのでしょうか。
上記の札幌市北区のAさんのケースで気になるのは、遺産分割協議の内容で相続税の申告と納税を行っておしまいにするのではなく、遺言の内容にしたがって相続税の申告を行い、CからBへの贈与があったものとして贈与税の申告と納税が必要になるのではないか、ということです。
というのも、民法上、遺言はAの死亡によって効力を生じるため、Aさんの死亡によってAさんの遺産は「A→C」と承継されています。そしてCが「自分は遺産はいらない」と言っているということは、「C→B」に再度の承継があったと考えることができます。つまり「A→C」において相続税が問題となり、「C→B」において贈与税が問題となるのです。
包括遺贈は、遺言者に帰属するいっさいがっさいの財産を受遺者に承継させるというのが民法上の効果であり、「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と民法において規定されています(民法990条)。
包括遺贈によって承継される財産は預金や不動産などの積極財産だけではありません。借金や保証債務などのマイナスの財産も承継されてしまうところが特徴です。
そんな包括遺贈は、放棄できるとされています(民法986条)。財産のすべてをあげると言われても、負債が多額にあっては困ってしまうため、民法は包括遺贈の放棄も認めているのです。
放棄の仕方は、家庭裁判所で行います。民法上「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」とされていることから、相続放棄と同じように、家庭裁判所で3か月以内に放棄しなければならないのです。
上記の札幌市北区のAさんをめぐる相続においては、Cさんは包括遺贈の放棄を法的にしているとはいえません。だからこそ、理屈の上では、Aさんの遺産は「A→C→B」と移っていることから、「A→C」で相続税が、「C→B」で贈与税が課税されると考えられるのです。
上記のAさんのようなケースにおいて、国税庁は次のように述べています。
相続人全員の協議で遺言書の内容と異なる遺産の分割をしたということは(仮に放棄の手続がされていなくても)、包括受遺者である丙が包括遺贈を事実上放棄し(この場合、Cは相続人としての権利・義務は有しています。)、共同相続人間で遺産分割が行われたとみて差し支えありません。したがって、照会の場合には、原則として贈与税の課税は生じないことになります。
結局のところ、民法の規定は置いておいて、税務実務においては家庭裁判所の手続きを経ない「事実上の放棄」を認めるということです。相続人の全員であるBとCで協議し、Cが包括遺贈を放棄したと認められるため、Aの遺言書は「税務上は」なかったものと扱われるということです。
したがって遺言の内容に関わらず、「A→B」にAの遺産が承継されたとする遺産分割協議の内容で相続税の申告と納税を行えばよいことになります(贈与税は問題にならない、ということです)。
上記は、まだ「相続税申告していない」という前提があります。相続税申告をしないうちにBとCが、Aの遺言の内容に反する遺産分割協議を行った場合は、「A→B」に遺産が承継したという内容の相続税申告をすればよいというお話でした。
一方で、Aの遺言の内容にしたがって相続税申告を行い、その後にBとCが「やっぱりAの遺産はBが相続する」と協議した場合は話が異なります。
遺言の内容にしたがって相続税申告を行った場合、それは遺言の内容による相続があったという主張ですので、Aの遺産は「A→C」に確定的に承継されていると考えられます。したがって「やっぱりAの遺産はBが相続する」と協議したとしても、それはCからBに対する贈与等があったと考えることが可能なのです。つまり、相続税のみならず贈与税の問題も生じる可能性があります。
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